一幡神社御榊神事
御榊神事保存会
静岡県牧之原市菅ヶ谷地区の一幡神社で、毎年2月上旬の3日間に渡って行われる御榊神事は、「二十八苗(みょう)」と呼ばれる28軒の家が祭りの主催者となります。二十八苗は代々決まっており、28年に1回「本苗(ほんみょう)」という役目がまわってきます。本苗は「合苗(あいみょう)」や「苗連(みょうづれ)」などの家々と協力し、祭りを取り仕切ります。
本苗の最も大切な務めは、御神体である「御榊(おさかき)様(さま)」を守り抜くことです。前年の本苗から「御本飯(ごほんぱん)」という餅を受け取った本苗は、それを小さく賽の目に切って榊の葉の上に並べ、竹の簀の子に包んで榊の枝に吊るした御榊様を作ります。そして、神社境内(昔は本苗の自宅)にある栗の木と藁で作った小屋(「御仮屋(おかりや)」)に安置し、祭りまでの1年間慎んだ生活を送ります。こうすることで御神体に宿る霊力(稲魂(いなだま))が増幅され、豊作をもたらすと考えられています。
祭りの1日目、本苗宅では御神酒作り、2日目に御本飯や牛の舌餅など神饌の準備を行います。3日目には、神饌や諸道具、御榊様を持った行列が神社へと向かい、御榊様を開いて氏子や参拝者に中身を配ります。本苗の役目はこれで終わり、神饌や諸道具は来年の本苗が引き継ぎ、新しい御榊様を作ります。
類似する行事は全国でも数えるほどしかない大変珍しいお祭りです。県の無形民俗文化財に指定されています。
御神酒絞り
牛の舌餅、御本飯づくり お立ち準備
行列 古例祭