防災講座「避難生活を学ぶ」第9回目
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防災講座「避難生活を学ぶ」第8回目
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防災講座「避難生活を学ぶ」第7回目
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防災講座「避難生活を学ぶ」第6回目
避難所での避難生活、炊き出しでカレーライスを食す、難解な防災用語、北関東・東北豪雨災害を顧みて
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防災講座「避難生活を学ぶ」第5回目
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防災講座「避難生活を学ぶ」第4回目
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防災講座「避難生活を学ぶ」第3回目
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防災講座「避難生活を学ぶ」第2回目
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防災講座「避難生活を学ぶ」開講

                           平成27年4月18日

                                 若杉正則


予てより企画していました防災講座「避難生活を学ぶ」を4月18日菅山公民館に於いて開講いたしました。

牧之原市行政側から、教育長 坪池洋様、防災まちづくり専門官 矢部昇様、危機管理課係長

増田典之様、社会教育課長 原木哲夫様、そして菅山区長 増田文男様のご臨席をいただき開催の運びとなりました。

受講生22名と今年度新たに選出された区会組長の皆さん共々講座を開始しました。

司会進行役を小俣溶子さんにお願いし次第に従い進行していただきました。


主催者あいさつとして若杉正則が次のように話しました。

4年前の「東日本大震災」発災後災害ボランテイアとして4回現地を訪れました。ガレキ等の片づけのかたわら、被災された人の話を聞いたり、ボランテイアとして避難所を訪ねた際そこでの暮らしぶりをつぶさに見てきました。4畳半ぐらいのわずかなスペースにひと家族が寄り添い、ダンボールの壁で仕切られているとはいえ、知らない隣人に気を使った生活は過酷なもので、私には「到底我慢のできるものではない」と思いました。食事も冷たい弁当が配られるだけです。唯一炊き出しボランテイアによる温かい食事があるだけです。トイレも仮設トイレを利用し、洗濯もままならない状況でした。私が行った被災1ヶ月後には電気・水道も復旧して多少改善されていましたが、その不自由な生活は被災3か月後の仮設住宅ができるまで続きました。すべての避難所が閉鎖されたのは半年後の9月頃でした。

避難生活は過酷なものです。何不自由の無い生活が突然災害によって奪われます。着の身着のままで被災することはさらに過酷と言えます。その時少しでも良い「避難生活」ができるかは「備えと訓練」です。「訓練に勝る体験はない」といえます。

この後の講演では「牧之原市の被害状況」と「牧之原市の災害対策」です。

まずは敵「被害状況」を知ることです。そして己の「災害対策・備え」を知ることです。

「避難生活を学ぶ」のテーマは「自分の命と家族の命、生活を守る」です。

目標は「指定避難所に頼らない避難生活」です。

これから一緒に学んで行きましょう


次いで防災まちづくり専門官の矢部昇様のあいさつ、菅山区長の増田文男様のあいさつをいただきました。ご来賓の皆様を紹介した後、本日の講演を開始しました。


講演「自然災害を知ろう」

◎ 牧之原市の被害想定(ライフライン)

上水道の断水率

 東海・東南海・南海地震では

直後で100% 1日後で99% 7日後で64% 1ヶ月後で1%


 南海トラフ巨大地震では

    直後で100% 1日後で100% 7日後で90% 1ヶ月後で73%

電気の停電率

 東海・東南海・南海地震では

    直後で89% 1日後で81% 4日後で7% 1週間後で4%

 南海トラフ巨大地震では

    直後で91% 1日後で85% 4日後で29% 1週間後26%

固定電話の不通回線数

 東海・東南海・南海地震では

    直後で90% 1日後で83% 1週間後で13% 1ヶ月後で5%

 南海トラフ巨大地震では

    直後で94% 1日後で90% 1週間後で49% 1ヶ月後で40%

携帯電話の被害数

 東海・東南海・南海地震では

    直後で10% 1日後で83% 4日後で16% 1週間後で13%

 南海トラフ巨大地震では

    直後で32% 1日後で90% 4日後で51% 1週間後で49%


牧之原市の第4次被害想定(市の面積111.68k㎡人口約49000人 建物棟数21000)

区分

Lー1(東海・東南海・南海地震)

L-2(南海トラフ巨大地震)

地震動

震度7の地域     5.8K

震度6強の地域   103.8K

震度7の地域      54.8K

震度6強の地域     103.8K

津波

最大津波高       11m

深水深1㎝以上    2.1K

深水深2m以上    0.6K

最大津波高        14m

深水深1㎝以上      10.8K

浸水深2m以上      7.4K

建物被害

全壊焼失棟数     約4800棟

うち地震動液状化   約3300棟

菅山では       約255棟

全壊焼失棟数     約11000棟

うち地震動・液状化   約6900棟

菅山では        約600棟

人的被害

死者数        約400人

うち津波       約300人

菅山では        約6人

死者数        約14000人

うち津波       約13000人

菅山では         約60人

 

被害想定の比較

 

マグニチュウド

浸水面積

浸水域内人口

死者・行方不明者

建物被害

(全壊棟数)

東日本

大震災

9.0

561K

約62万人

約18800人

約130400棟

南海トラフ巨大地震

9.0

  1015K

  約163万人

約323000人

約238000棟

倍率

 

約1.8倍

約2.6倍

約17倍

約18倍

 

 

牧之原市の避難所施設と学校区と人口 収容可能避難者人数

 

小学校区

避難所施設

収容可能人数

人口

海抜10m以下

相良

 9か所

 3806人

11018人

   8か所

片浜

 2か所

  560人

 1274人

   2か所

地頭方

 6か所

  503人

 4872人

   3か所

菅山

 3か所

  767人

 2585人

   0か所

萩間

 2か所

  322人

 3128人

   0か所

牧之原

 4か所

 1155人

 2536人

   0か所

細江

 3か所

 1209人

 7814人

   3か所

坂部

 2か所

  514人

 2432人

   0か所

川崎

 5か所

 2285人

 9434人

   5か所

勝間田

 4か所

 1772人

 2867人

   1か所

 

40か所

12893人

47960人

  22か所

                             人口は平成25年2月末

指定されている避難所施設で収容可能人数===12893人

海抜10m以下の避難所施設で収容可能人数===9385人

海抜10m以上の避難所施設で収容可能人数===3508人

牧之原市の人口は約49000人

避難所に入ることが出来ない人===約36000人

津波浸水区域に大部分の避難所施設があるので===約45500人

は避難所に入ることが出来ない

  指定避難所に頼らない避難生活

避難生活は大規模災害の発生によりライフラインが停止する。生活物資の流通も停止して通常の生活ができなくなる。回復には1か月を要する。例え住居が大丈夫であったとしても、電気・水道の長期間の停止により、照明・炊事・洗濯・風呂のほかトイレにも支障をきたす。

避難所に入ることが出来たとしても、隣人・トイレ等に気を使った生活環境には到底耐える事が出来ない、災害弱者にとっては関連死に至る。

本講座では「指定避難所に頼らない避難生活」を学んで行きます。

 

  大規模災害は地震津波だけではない

地球内部で起きる地殻の変動やマグマ活動が地表に現れて地震・津波・火山として災害をもたらす。

地球の表面では大気の流れがあり、太陽の熱で海水が温められることにより低気圧が発生し、発達すると台風となる。

風害(台風、竜巻、ダウンバースト)

水害(洪水、高波、高潮)

土砂災害(土石流、がけ崩れ、地滑り、深層崩壊、河道閉塞)

火山災害(火砕物(火山灰、噴石)、熔岩流、火砕流、火砕サージ、火山泥流、融雪火山泥流、

山体崩壊、火山ガス)

 

 

土砂災害では

静岡県小山町 台風9号に伴う集中豪雨災害―――2010年9月

和歌山県南部 台風12号に伴う集中豪雨災害――2011年9月

伊豆大島   台風26号に伴う集中豪雨災害――2013年10月

広島市    ゲリラ豪雨に伴う土砂災害――――2014年8月

       いずれも死者を伴う災害です。

洪水では

牧之原市細江 大雨による洪水災害―――――――2013年4月

静岡市清水区 台風による大雨での洪水災害―――2014年10月

火山噴火災害では

三宅島の噴火 2000年6月 全島民が長期にわたり島からの避難

御岳山の噴火 2014年9月 突然の噴火により登山客63名が犠牲

大規模竜巻災害では

つくば市などを襲った大規模竜巻―――2015年5月

関東の平野部では毎年のように竜巻被害が発生している。

 

この様に大規模災害は地震や津波だけでなく、昨今の異常気象により集中豪雨や竜巻などにより、いつどこで災害が起こるかわからない。

菅山の人の中には「東日本大震災」の津波の被害を見て「菅山には津波は来ない」と津波被害のみに偏っているが、土砂災害、洪水、突風による被害もあり、古い木造住宅は地震の揺れにより倒壊する恐れがある。

災害に係る情報

気象情報

天気予報(1週間先の予報、3か月予報)

警報・注意報(大雨、洪水、大雪、暴風、波浪、高潮、雷、竜巻)

特別警報(数十年に1度の、強度の台風や集中豪雨により大規模な災害が予想される時)

   大雨特別警報、暴風特別警報、高潮・・・,大雪・・・と発表され厳重な注意が必要である。

時系列で発表される情報として

  大雨に関する気象情報⇒大雨注意報⇒大雨警報⇒記録的短時間大雨情報⇒土砂災害警戒情報

・洪水注意報・警報

  避難準備情報⇒避難勧告⇒避難指示(市町村長により発表)

地震情報と津波情報

震度速報(震度3以上 1分半後に観測地域名と発現時刻)

震源に関する情報(発生場所(震源)規模(マグニチュウド)

合わせて津波に関する情報 津波注意報・警報)

緊急地震速報(初期微動(p波)を測定し大きな横揺れの主要動(s波)が各地に達しないうちに到達時間や予想震度を速報する)

大津波警報(巨大と表現)5m・10m・10m超――――高台・避難ビルに避難の呼びかけ

津波警報(高いと表現)3m――――高い所への避難の呼びかけ

津波注意報      1m――――海から上がれ・海岸から離れる等の呼びかけ

 

  市が避難勧告等の発令基準

1、      市内2級河川のいずれかが基準水位に達した場合

2、      「土砂災害警戒情報」や「特別警報」が発令された場合

3、      地域の状況が「危険」と判断された場合

  河川の基準水位は次の通り

河川名

観測点

水防団待機水位

氾濫注意水位

避難判断水位

氾濫危険水位

萩間川

東中橋

 1,70m

 2,20m

 2,50m

 3,10m

「氾濫注意水位」に達すると、市は「避難準備情報」の発令を検討

「避難判断水位」に達すると、市は「避難勧告」の発令を検討

「氾濫危険水位」に達すると、市は「避難指示」の発令を検討

  避難勧告等の種類と住民の行動

避難準備情報

発令の目安

人的被害の発生する可能性が高い

 

住民の行動

高齢者など避難に時間のかかる人は避難開始

避難勧告

発令の目安

人的被害の発生する可能性がさらに高い

 

住民の行動

避難所へ速やかに避難開始または高い所に移動

避難指示

発令の目安

災害の前兆現象が発生し切迫している

 

住民の行動

避難を完了している

  垂直避難も有効です。

水害の場合は、足腰が不自由などの理由で避難が困難な方や、夜間や雨脚の強い場合など、避難が難しい状況となった時には、住宅の2階など高い所に避難することも有効です。

河川の近くや土砂災害の危険エリアの方は、避難所への避難を優先します。

  避難等を伝達する手段は

同報無線や市のホームページ、テレビラジオの放送(dボタンを押すことにより市内の状況がわかる)

我が家の災害リスクを知り有効な避難方法を家族間で話し合うことが大切です

  災害に係る情報として「菅山非常通信」の紹介

「菅山アマチュア無線クラブ」 会長 宮本千賀志 会員26名 中学生2名参加

設立は平成16年8月

活動内容

毎月15日・20日のロールコール 菅山ふるさと祭りの参加 

地域防災訓練など年3回の防災訓練に参加

大規模災害の発生によりライフラインは1か月以上に渡り停止します。携帯電話・固定電話も不通となり外部・内部への連絡手段は「アマチュア無線」の活躍が期待されます。

防災訓練に於いて各組集会所から情報の収集・伝達を本部に送る訓練を重ねていることは周知されていると思います。

 

  地震に関する知見・情報

日本の地震活動と被害

死亡者を伴う被害を与える地震として、マグニチュウド7クラスの地震が年間1~2回、マグニチュウド8クラスの巨大地震が10年に1回程度の割合で過去に起きている。東日本大震災のようなマグニチュウド9クラスの超巨大地震の事例は少ないが、およそ数百年に1度の頻度で起きている。

阪神淡路大震災  1995年1月17日  マグニチュウド7,3 死者6434人

新潟県中越地震  2004年10月23日 マグニチュウド6,8 死者68人

新潟県中越沖地震 2007年7月16日  マグニチュウド6,8 死者15人

岩手宮城内陸地震 2008年6月14日  マグニチュウド7,2 死者23人

駿河湾地震    2009年8月11日  震度6弱       死者1人

東日本大震災  2011年3月11日 マグニチュウド9,0 死者行方不明19000人

この間にも阪神淡路大震災の2年前、1993年7月北海道南西沖地震 奥尻島で大きな津波被害が発生。

鳥取県西部地震――2000年  芸予地震――2001年  十勝沖地震――2003年

福岡県西方沖地震―2005年  東南海地震―1944年12月 南海地震―1946年

東南海地震以降、伊豆半島の大きな地震はあるが、2009年の駿河湾地震までこの地方に大きな地震は発生していない。実に70年間静穏に過ぎている。

上記の地震の特徴として

阪神淡路大震災―――――古い木造家屋の倒壊による圧死と火災

中越地震――――――――山間地における土砂災害、河道閉塞

中越沖地震―――――――液状化現象、柏崎原発の火災

岩手宮城内陸地震――――山間地の山腹崩壊、土石流

東日本大震災――――――大津波、津波火災、電源供給停止による原発事故

 

東海地震等、南海トラフ巨大地震ではこれ等全てが合さった大災害となる。

すなわち、大津波、津波火災、家屋の倒壊、土砂災害

「人は必ず死にます」「家も何時かは壊れる」

大規模災害が起きた時には「人は死んではいけない」「家は壊れてはいけない」

防災講座「避難生活を学ぶ」では

テーマとして「自分の命を守る、家族の命と生活を守る」

目標としては「指定避難所に頼らない避難生活」

大規模災害はいつでも来ます。十分な備えと体制を作ってください。

 

次回の講座は

5月16日(土)19時~   菅山公民館

我が家の災害リスクを知ろう 平常時の対策は?

   「家庭内対策チェックリスト」を配ります。次回に持参してください。

これからの講座

6月20日(土)19時~   菅山公民館

避難する 避難地と避難所 どう備える非常持ち出し品と備蓄品 トイレはどうする

7月18日(土)19時~   菅山公民館

HUG訓練 避難所運営訓練 役目を持つ 災害弱者への対応 トイレの問題は

8月15~16日

屋外に於いての避難地生活訓練 雨露をしのぐには 非常食を食べる トイレはどうする

 

毎月第三土曜日平成28年1月まで10講座を予定しています。